【独身戦記_第4話】君よ、幸せになれ。祝福の鐘と独身の鐘

日記

今日、旧友から久々に連絡が来た。その内容は、「結婚する」とのことだった。

私は電話越しに祝福の言葉をかけたが、内心ではまた一人、独身仲間が去っていくことに一抹の寂しさを感じた。

旧友からの電話は唐突だった。「久しぶり、元気?」と、お決まりの挨拶から始まった後、すぐに本題に入った。「実は結婚することになったんだ」。その瞬間、私の心の中で独身の鐘が鳴り響いた。おそらく旧友には幸せと祝福の鐘が鳴っているに違いないが、私の傍で鳴る鐘は「お前はいつまで一人でいるんだ?」と皮肉を語り掛けてくる。思わず受話器越しに「鐘、うるせぇ!」と突っ込みたくなったが、独身に輪をかけて、さらに頭のおかしい人認定される可能性がちらついたので、言葉をぐっとこらえた。

しかし、私も37歳という年齢。20代後半から30代前半にかけての結婚ラッシュを乗り越え(結婚ラッシュに取り残され)、ようやく落ち着いた生活(独身生活)を迎えたわけだったが、時間差で五月雨のようにちょぼちょぼと訪れる結婚報告はなんだかんだでボディーブローのようにダメージがくる。

私の今の状況を例えるなら、砂漠の中に立っているかのようだった。友人たちが次々とオアシスを見つけて去っていく中、私は砂漠の真ん中で一人、ココナッツジュースを飲んでいる……よくわからないけどそんな気分。しかも、ストローがやけに長くて、飲むたびに口に砂が入るおまけつき。見渡す限り誰もいないし、オアシスの蜃気楼さえ見えやしなし。

結婚には結婚の、独身には独身の良さがある。旧友が幸せな結婚生活を送ることを心から願いつつ、今は独身の自由さを楽しむことに決めた。今日は旧友の結婚に祝杯をあげよう。もちろん独りで。「乾杯!」と言ってワイン(アルカパ)を一気で飲み干した私。

友よ、幸せになれ。そして俺も、俺なりの幸せを見つけていく。この瞬間も、独り身の冒険は続いていくのだ。独りの旅路だって悪くない、はずなのだから。

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