【独身戦記_第3話】エレベーターの悲劇

日記

エレベーターに一人で乗っていると、ついつい身体を揺らしたり、無性に変なポーズをしたくなりますよね。

誰も見ていないと思うと、心の中の小さな悪戯心が顔を出すんです。この年齢になっても(37歳)

今回はそんな悪戯心という病にかかってしまった、ついこの間のお話し。

その日は夜遅く、いつものように仕事から帰ってきた私は、マンションのエレベーターに乗った。

エレベーターが昇っていく途中、イヤホンでお気に入りの音楽を聴きながら、突如としてその病は襲い掛かる。「誰もいないし、あのポーズをしてみるか……」と。

話しは変わるが、リコリスリコイルというというアニメをご存じだろうか?

2022年7月から放送された日本のオリジナルアニメであり、その後、2.5次元で舞台化されるほどの超人気作。当然のように私もそのアニメのファンで、ついこの間も舞台が公演されているシアターGロッソに足を運んだくらいだ。

で、そのアニメの名シーンの一つとして、登場人物である井ノ上たきなが「さかなー」と恥ずかしながらも声を上げ、かわいらしくポーズをとるシーンがある。

それがこれ↓

アニメを見たことがない人でも、この一枚絵だけで愛くるしさが伝わってくるのではないだろうか?

さて、前段はここまでとして、エレベータに一人で乗る私の身に降りかかった病気の話に戻そう。

マンションの私の部屋は7階にあるので、エレベーターが昇っていくそのわずかな時間ではあった。

誰もいない密室空間をいいことに、私はまるで身体の自由を奪われたかの如く「さかなポーズ」を繰り広げた。(37歳)

イヤホンをしていたから、どれくらいの声量だったかわからないが、「さかなー」という発声ももちろんした。(37歳、独身)

うまいこと片足でバランスを取りながら、完全に自分の世界に浸っていたその時……

エレベーターが予定よりも早い5階で止まり、扉が開いた。

しかし、イヤホンから流れる音楽により周囲の音は遮断され、さらに「さかなー」の瞬間には満を持して目を閉じていたことから、予定よりも早く扉が開いたことに気づかず、私は自信に満ちた「さかなポーズ」のまま固まっていた。

違和感を感じた私が目を開くと、扉の向こうには若い女性の姿がありました。

彼女は無言。

もちろん、彼女に気づいたからと言って、今更このさかなポーズを崩そうとは思わない私。

むしろ、これが私なんです、と初対面の女性に対し悟りを開いていた。

今思えば異常だった。

その女性は何も言わず、そして本当は乗りたかったであろうエレベーターに乗ることなく、そのまま扉が閉まった。

それを確認した私はまるで何事もなかったかのよう、ゆっくりと直立状態へと姿勢を戻す。

部屋に戻った私は冷静になり、「なんであんなことをしたんだろう」と猛省。

あの出来事以来、イヤホン聞きながらの移動は危ないなと悟り、極力つけないようにしましたとさ。

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